姨捨の棚田
おばすてのたなだ

姨捨の棚田

文化的景観の紹介

古くから月見の名所・棄老説話で有名な姨捨地区(標高460~560m)の傾斜には、眼下の千曲川や善光寺平と呼ばれる広大な盆地を臨んで、約40ha、1,500枚の棚田が展開しています。

近世初頭に畑や水田が混在する耕作が行われ始め、その後利水が進展することにより水田が主体となり、17世紀半ばから近現代にかけて、日本を代表する棚田の文化的景観を形成しました。

「姨捨の棚田」の基本構造は、土石流が形成した斜面上の棚田と、その水源である更級川上流の大池が有機的に結びついているという特徴があります。近世初頭における営農は、斜面上の湧水群を利用して始まりましたが、やがて大池から更級川を経て各用水へと配水する灌漑手法ができ、土坡の畦畔を越えて導水する「田越し」と呼ぶ灌水方法や、水田の下層に敷設された「ガニセ」と呼ぶ暗渠による排水方法が工夫されることにより、棚田は斜面全体へと広がりました。

「姨捨の棚田」を中心とする文化的景観は、①生産の場である棚田が展開する区域、②ため池である大池を中心とする水源の区域、③大池から流れ下り棚田における利水の背骨となる更級川の3つの景観単位に区分でき、その周辺に水源涵養林の区域や生活の場である集落などが展開します。

このように、「姨捨の棚田」は、水源となる大池から更級川へと繋がる水系を軸として、用水や田越しの灌漑手法が網の目のように張り巡らされ、17世紀半ばから近現代に至るまで継続的に営まれてきた農業の土地利用の在り方を示す独特の文化的景観であり、日本人の生活または生業を理解する上で欠くことのできないものです。

基本情報

所在地 長野県千曲市
選定年月日 平成22年2月22日
選定基準 (一)水田・畑地などの農耕に関する景観地選定基準の詳細はこちら

地図

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お問い合わせ情報

担当課 千曲市教育委員会 歴史文化財センター 文化財係
住所 〒387-0012 長野県千曲市大字桜堂268-1
電話番号 026-261-3210
関連サイトURL http://www.city.chikuma.lg.jp/docs/2015060500023/
アクセス JR篠ノ井線姨捨駅より、徒歩5分
長野自動車道 姨捨スマートI.C.より、車で5分 流れ下り
長野自動車道 更埴I.C.より、車で15分
しなの鉄道戸倉・屋代駅より、車で15分